四逆散の解釈
1,四逆散の構成と効能
四逆散:柴胡5.0;芍薬4.0;枳実3.0;甘草2.0はにより成り立っています。
この処方構成からの効能として考えられるのは、柴胡と芍薬が入っていることにより肝臓と十二指腸周辺の血熱があり、気剤である枳実が入っていることから気の途絶が起きることによって「四逆」すなわち四肢が冷えるという処方であることが推測できます。このことは肝臓当たりの気の流れの途絶が基盤となり四肢に症状が生じることを意味しています。言葉を換えれば、身体における内臓の変化が他の臓器に出ることを意味しています。これが漢方薬を使っていて非常に興味深い所でもあります。
2.「何故、四逆散を選択する?」というケースが多く見られます
あるコロナ後遺症の患者さんは、漢方治療は自分のクリニックで、また傷病手当の関係での受診は有名な先生に受診しています。最初に有名な先生に受診していたので仕方がないことです。その患者さんがそのクリニックで出された処方を見せてくれて…「この処方された薬を飲んで良いのでしょうか?」と聞かれたりします。ここに四逆散が入っていたりします。
実際に、自分が診察をすると両脇の熱があり柴胡剤だけでは治らない感覚を持ちます。自分の診断では両脇の熱があり左優位です。黄連剤が優位で柴胡剤の適応は最低限です。これを柴胡剤単体に加えて中程度の力がある四逆散のみを使うことを決めた医療関係者の感覚に対して困惑します。
3.柴胡剤を選択する判断が出来ているのか?
四逆散は柴胡剤に他なりませんが…肝臓に鬱血が認められれば使って有効な処方に他なりません。しかしながら、柴胡剤と黄連剤の区別が出来ないで柴胡剤を使っている医療関係者が多い様な印象を受けます。柴胡剤を多様する一方で「胃熱に効果がある黄連剤を併用する視点が何故、殆どないのか?」そんなことを不思議に思います。柴胡剤と黄連剤の区別が出来ないこととしての結果は…漢方的な診断が出来ていないのではないか?と危惧しまう場面でもあります。
4.自分がコロナ後遺症で柴胡剤単体を使った症例
自分がコロナ後遺症に柴胡剤を基盤に使用したのは数百例の内の3例だけです。
2人は脱毛です。肝臓に鬱血があり左下腹部の力が落ちています。この様な時で便秘を伴うならば…四逆散でなく大柴胡湯を使います。それに加えて左下腹部の力を立ち上げる漢方薬を併用します。これは「腹部臓器はたすき掛けにバランスを取っている一面がある」ことも意味しています。
今日受診されたコロナ後遺症の患者さんは、珍しく両脇の熱があり右が優位でした。
このような場合は、両脇の熱をとる漢方薬を主体として、柴胡剤を付け加えます。
5.身体を診ることの大切さ
症状ばかりに注目した診察で…この様な誤治を繰り返すのは如何かと思います。
少なくとも柴胡剤適応の身体に対して四逆散を使って欲しい。そんな印象しかありません。
それはコロナ後遺症の治療だけではなく、一般の漢方治療に対しても強く思います。
2023/09/26更新
2023/09/24