高血圧は内科に取っては基本的な病気である一方で身体に取っての必然性は解明されていません。
生活習慣病でもあり肥満と関係が深いものの肥満とは関係のない高血圧もあり、その真相は、まだ不明なのが実情です。
まずは血圧を下げる治療を!
最高血圧が180、最低血圧が100を超える場合には降圧剤を使って血圧を下げる必要があります。高度の高血圧により脳出血の可能性があり、そのリスクを取り去った後で治療法を練り上げることが必要不可欠です。それからが治療の始まりです。
現代医学の治療には血圧を下げる力があります。高血圧を引き起こした根本的な解決の前に出来るだけ早く血圧を下げて脳出血の危険性を下げる必要があります。一度、脳出血を起こせば、その後に半身不遂などの大きな後遺症を残すことにもなりかねません。
まずは血圧を安全なレベルまで下げてから根本的な治療をすることが大切です。最初から漢方治療を望む患者さんもいますが、一般薬で血圧を下げて安全を確保した上で漢方治療によって根本治療をすることが大切です。漢方医学は2000年前の医学で脈診はありますが血圧計がない時代の医学です。その意味では血圧という概念と血圧計を持っている現代医学を優先する必要があります。
1.高血圧の概略
(wikipediaより抜粋)
高血圧とは、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態である。高血圧自体の自覚症状は何もないことが多いが、虚血性心疾患、脳卒中、腎不全などの発症原因となるので臨床的には重大な状態である。生活習慣病のひとつとされ、厚生労働省(2013年度)は男女共に通院者率の最も高い疾患として公表している(2位は男が糖尿病、女が腰痛)。(中略)
基準の変遷と指摘
収縮期血圧の目標値は数回にわたり引き下げの変更が行われています。
1987年、180mmHg 以下
2004年、140mmHg 以下
2008年、130mmHg 以下
大櫛ら(2008)によれば、血圧と死亡率を年令の関連をグラフにすると、120/80mmHg 未満での死亡率が有意に低くなり、一見すると「血圧は低ければ低いほどよい」様に見えるが、年令別にみると男女共に年令に関係なく 160/100mmHg 未満までは循環器系疾患死亡率が上昇しない。一方、180/110mmHg 以上の人を 160/100 mmHg と強く下げた場合に死亡率が上昇する傾向がある。また、高血圧症治療(降圧薬服用)は全ての世代でリスク要因であった。更に、「基準値を年齢別・性別に設定すべきである」「160/100 mmHg 以下では健康リスクとならない」「薬物治療は 180/110 mmHg 以上を限定とし降圧は 20mmHg までとする」などの指摘を行っている。
※意外に血圧が高いと言われている状況でも大丈夫なことが多い、ということだと思います。今の高血圧治療は神経質になりすぎているのかも知れません。
2.高血圧の治療とは?
血圧を下げる薬は現代医学にてすでに出来上がっています。まずは脳出血などのリスクを回避すべく、ある程度の血圧を下げることが第一段階です。ですから、まずは一般の降圧剤を使って血圧を下げる治療をします。同時に東洋医学的に問題点と考えられる治療を併用していきます。ここで皆さんに御理解頂きたいのは、現代医学の降圧剤と同等の力を持つ漢方薬がないことです。このため降圧剤で様子を見ながら漢方薬で高血圧となりうる身体の状態の是正をしていきます。
メタボリックシンドロームが基盤にある場合
メタボリックシンドロームの場合、キツい言い方かも知れませんが患者さん本人が自覚を持って減量をすることが重要です。減量により脂肪肝・糖尿病などと共に血圧も正常化していきます。「生活習慣病である」と患者さん本人が認識して減量をしていくことが最も有用な治療法です。生活を変えないで薬だけを飲んでいても薬が増えるだけです。
実際には減量をしっかりした患者さんの中には薬が不必要になった人もいる程です。「出来るだけしています」という言葉も理解できますが、体重が減っていないのでは、もう少しご自分の身体を守ることを考えることへの自覚の必要性を感じます。どんな病気でも同じですが病気を治すのは医師ではなく患者さん本人だと言うことを理解することからが病気治療の始まりです。
メタボリックシンドロームの減量に関して、仕事が忙しくて減量が出来ないという気持ちも分かりますが、身体が倒れた時には仕事が出来なくなる怖さを知って頂きたいと思います。一度倒れたら仕事はできても数ヶ月先です。
高血圧治療の当院での一般的な治療方針
一般の降圧剤も使いますが漢方薬も使います。しかしながら、まずは一般の降圧剤である程度、血圧が安定した状況下で漢方薬を併用していきます。 高血圧が強い場合に最初から漢方治療だけでは無理があります。まずは降圧剤を使い身体に合わせて漢方薬を併用して根治治療を目指します。
もちろん患者さんの減量などの努力や漢方医療の併用治療により降圧剤を飲まなくても良い状態になる患者さんも多いのが実情です。