School refusalコロナ後遺症と不登校や長期欠勤について

コロナ後遺症と不登校や長期欠勤について

この病態に関しては「ご家族がコロナ後遺症では?」と話しても診察後に以下の様に話すことが多い状況です…「コロナ感染とは無縁であり、関係深いのはコロナ禍からの生活の変化によるもの」と。ですから「慢性疲労症候群」は作られた病態であり、コロナ感染とは直接関係ないストレスフルの生活が生み出した病態が多いと考えています。この様な症例の患者さんは少なくありません。

実例1
先日、コロナ感染後に不眠や倦怠感などが取れないと来院された中年の患者さんがいらっしゃいます。「これはコロナ後遺症ですか?」と聞かれましたが「これはコロナ後遺症ではなくコロナ禍からの生活が作りあげたものです」と話しました。そうすると患者さんは次の様に話します。「コロナが始まってから4年間もリモートワークだけでした」と。「ここが問題なんですね」と話して治療が始まりました。

人間はたわいのない時間が大切だと思います。出勤して同僚とたわいのない話をしたり、悩んでいることを話したり、一緒に飲みに行ったり…そんな余暇が生活を支えています。そんな息抜きがなくリモートワークで始まりも終わりも自分一人、悩みも話す人もいない、馬鹿を一緒にやる人もいない、これでは気持ちの安定した生活が成り立たないのは当たり前のことだと思われてなりません。

実例2
中学生の患者さんですの例です。親御さんを診察室に入れると親御さんしか話しません。患者さんである中学生の子は何も話しません。朝に1~2時間遅れて学校に行くとのことで「遅刻常習」になってしまっています。診察をするとストレス一杯の黄連剤適応の身体をしています。基本、この様なケースでは「学校に行きたくない」と言う気持ちで一杯なのでしょう。ただし自宅にいても息子さん本人は「学校に行かなくては」という葛藤がありますので…病態は悪くなる一方になります。この中学生もストレス一杯で逆上せが強いでしょうから、うつ病的に頭の充血で身体の動きは悪くなるのが自然です。

この様な方の親子関係を見ていると…親子の関係の重要性が分かっていない親御さんが多い様に思います。子供の個性を尊重し親が全てを決めないで、子供の個性と子供が決めていく人生を認めることが重要なことだと思えてなりません。子供の個性は親の個性とは別ですので親が子供のことを決めることを優先してしまえば、子供の個性を無視していることと同じです。これに反発するのが子供が親離れをする姿ですので「子供を一つの個性として認めて、子供の選択を重視すること」も大切だと感じます。あとはお友達関係も大切になるのは当然のことです。

実例3
30代女性、コロナ感染の後に目が眩しく疲れて仕事など出来ない、と。「休暇をしたいので診断書を!」と話します。仕方無いので大病院で検査をして休んで良いと言われたら休みも取れるかも知れませんが、クリニックの診断書で休むのは一ヶ月弱では?と話し大病院への受診を促し、紹介状を書きました。

実際には同じ症状で勤務しながら治療をしている患者さんもいます。ところが、この患者さんはコロナ後遺症なんだから「休ませろ!」と言うこと母親を話します。原因は親離れしていない子供と子離れしていない親の連係プレーです。「いま独り立ちさせる方向に方針を変えなければ結婚さえ出来ない…それを拒むのは母親」だと父親が話されます。この例はコロナ後遺症が部分的にあるかも知れませんが、同じ症状で受診をしながら勤務している人もいます。このことから…この女性が耐えられない原因には身体だけでなく精神的な部分…つまり親子関係にもあるということになるのでは?と思います。

実例4
30才台男性。コロナ感染以後に熱が下がらないと来院。失業で親と一緒に生活している状態で自宅から出ようとしない、とのことで来院。治療により少しずつ解熱して行くが週2回の数時間の外出以外は閉じこもり状態は余り変わらない。熱ばかりを測り気にしているため、外出するように来院する毎に話すが、なかなか外に出ようとしない。治療1年頃より本人も解熱していることを自覚し始めた。

それからは職探しを始めた。職探しは長期自宅にいたことから難航したものの…職場が決まって現在は出勤をするために毎日外出している。ご家族の治療も並行して行っているがお子さんが出勤される様になってから、ご家族の身体も変わったことを確認。子供が世間を渡っていける姿に安心感がある家庭と生活に戻ったことを物語るものと感じます。

実例5
30才台男性。コロナ感染後から倦怠感が強いと自宅に閉じこもり状態。この病態に対し治療を開始、徐々に身体が変化しているため、その時々の身体に合うように薬の処方を変更しながら経過観察。3ヶ月程度の治療の後に「もう、大丈夫」と判断し「会社に出るように」と指示。その患者さんが下を向いて診療室を出る姿に「多分…不安に感じている」と思ったものの本人に任せることを優先させることにしました。

その後、自分で出勤への一歩を踏み出し、数ヶ月後に来院した時には以前の様な精神的な脆さがなくなり笑顔が見られる様になった。以後は調子が悪いときのみ診察に来ている。自分で立つことの大切さを教えてくれる症例です。

実例6
中学生の男の子。コロナ感染後から怠さを主訴として自分の部屋から出ようとしないと来院。部屋の横のバルコニーにも出ない有様で閉じこもり状態の典型例。診察では黄連剤の適応であり不安神経症の状態と判断。ご家族に外に出すように指示したところ、家族と一緒に散歩をしたり、お子さんが喜びそうな旅行をする様にした、と。この様な家族の力により通学する様になり元気に生活をしているとのことであった。病気を治すのは薬だけではなく環境を見直すことの大切さを示す症例です。

まとめ

現在ではコロナ後遺症とお考えになり会社や学校を長期間休んでいるケースが多く見られます。身体をみるとパニック障害や不安神経症の身体をしており、コロナ後遺症とは考えにくい患者さんが増えています。この場合には学校や会社に少しでも早く復帰しながら治療をした方が治りやすく、自宅で休まれていることが症状の悪化につながっていることへの理解が必要です。

このような病状は基本的に漢方治療では黄連剤が絡んでいると思われますが…実際には格言の「灯台下暗し」の意味を理解しご自分の足元を良く観察する必要があります。「世の中との接点を失っていないか?」 また「コロナ自粛期間において人との繫がりが希薄になっていないか?」と言うことに視点を向けることが必要です。

全ては患者さんの気持ちの持ち方にかかっています。生活が病気を生み出しているのが殆どで…コロナ後遺症ではなくコロナ自粛期間があり生活の変化により起きている症状であるのにも関わらず「コロナ後遺症という病名」が容認されることから「コロナ後遺症という病名を出せば学校や会社も許すだろう」という世の中に対する甘えが根源にあるのでは?と考えています。

自分の感覚でしかありませんが…ストレスフルから逆上せが強くなり身体が動かなくなる「うつ病的」な症状であるのにも関わらず、「コロナ後遺症の慢性疲労症候群」などと診断を受けて「自宅で安静にしている様に」という説明を受けることが主流の様です。これは自宅に籠もることを医療が助長している姿でもあると思います。

最後にコロナ後遺症を1000例以上診察治療をして感じることは…コロナの意外な特徴です。「コロナは炙り出しが上手」と言うことです…「身体の個性の炙り出し」や「精神の個性の炙り出し」です。基本…自宅で籠もっている患者さんが自宅で静養していても治ったことはありませんし、自分の足で立っていない方ほど症状を気にしている姿です。コロナの最初の頃は自分で歩き始める患者さんが多かったのですが、コロナ2年目を過ぎたころから自宅に籠もる患者さんが多くなりました。お年寄りでは「不要不急の外出を避け自宅に籠もる」ことで多くの方が亡くなって行くのを目の当たりにしてきました。

「如何にこの様なコロナ禍で培われた生活が危険であることか?」を理解して頂けたら…という思いから記事にしました。少しでもこのようなことを理解して頂き、楽しい生活を送って頂けましたら幸いです。

2024/09/19更新
2024/09/18

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