Menopouse駆血剤への視点

1. 更年期障害の概略 2.更年期障害:骨盤の特異性
3.骨盤の特異性(一般向け) 4.骨盤の特異性(専門家向け)
5.更年期障害の症状と視点 6.当帰芍薬散の解析(更年期)
7.加味逍遙散の解析(更年期) 8.桂枝茯苓丸の解析
9.桃核承気湯の解析 10.通導散の解析
11.症状出現臓器と症状基盤臓器 12.リウマチと骨盤
13.当帰剤への視点 14.駆血剤への視点

駆血剤への視点

1.駆血剤について

駆血剤と言われても分からない人が大多数だと思いますが、駆血剤というのは一般的には「下腹部の充血を取る薬」のことを言います。駆血剤を検索して代表的な処方名をあげてみます。通導散・桃核承気湯・大黄牡丹皮湯・治打撲一方・桂枝茯苓丸・加味逍遥散・疎経活血湯・芎帰膠艾湯・当帰芍薬散・折衝飲(保険適用外)などでしょうか? 自分の感覚での診療での感覚でしかありませんが自分の感じ方は違います。上記に書いた処方の自分の感想をお話します。

2.駆血剤投与の難しさ

駆血剤は投与量が難しく思います。生理周期と生理期間を確認することで駆血剤投与のある程度の投与意義を見いだしたりしています。ところが生理周期が長く生理期間が長くて駆血剤を投与しても生理のバランスを崩すこともあり、難しい治療の様に思います。

出来るだけ注意をして「生理が来ないようなら中止するように」との指示は出しますが、それで生理不順になることもあり、非常に難しい印象を持ちます。生理は女性であることの基盤であり、この生理を治療でもいじることへの抵抗もあり、出来るだけ最小限の駆血剤の治療をすることにしています。

一方で、生理が重く「この痛みをどうにかして欲しい」との患者さんもいらっしゃり、この場合には辛い時には駆血剤を多く使ったりしています。生理が終わったら半分の薬の量にする指示などもしています。女性に取っての生理は重要な意味合いがあり人間が踏み込む部分は最低限にと考えながら治療をしています。この様な治療は実に難しい治療になると思います。ピルなどを服用していればお腹が張るだけで生理は来ますので、漢方薬の投与は難しくはありません。

出来れば「折衝飲」の保険適用があれば、と。折衝飲の薬草構成は…桃仁・当帰各4.0;芍薬・桂枝・川芎・牡丹皮各3.0;牛膝・延胡索各2.0;紅花1.0であり、桃仁・牡丹皮・紅花と充血を取る駆血剤薬草の他に、当帰という虚血になった下腹部をカバーをする様な処方になっています。この処方は使いやすい様に思います。しかしながら今は保険適用外ですので…駆血剤に当帰剤を併用する様な治療もしていかないといけないのが現状なのかも知れません。

3.この状態に柴胡剤や黄連剤の適応が入ると…より難しい

子宮の血室と呼ばれる部分は肝臓と考えるのが自然で下腹部の張りが強い人は肝臓も充血する傾向にあります。このときには駆血剤と柴胡剤の合方が必要となります。一方で…肝臓は充血せずに脾臓の充血が強い女性もいますので、この場合には駆血剤と黄連剤の合方が必要です。いかに現状の身体を把握して漢方処方をすることは難解な治療でもあります。しなしながら、どうにかして治療をしなくてはという気持ちだけが治療を支えている時もある程です。

4.症状投与では効き目は殆どありません

漢方薬の投与において症状投与をされている方が殆どで、これが正しいのか? これが現在の風潮か?が分かりませんが、この様な症状での漢方薬の投与の効き目は殆どと言って良い程ありません。漢方に携わる方にお話したいことは「症状投与」は止めて頂きたいという思いがあります。柴胡剤を使われていても…黄連剤の適応だったりすることも多く、自分の感覚でしかありませんが、今の漢方薬の投与は滅茶苦茶の状況の様に感じます。身体を診て診断することの大切さに、もう一度戻ることが必要ではないか?と考えています。

2024/08/31更新
2024/07/17更新

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